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COLUMNコラム

テレワーク・リモートワークにかかるコストと導入後の効果とは

テレワーク・リモートワーク導入を検討する際に考慮すべきポイントのひとつが「コスト」です。具体的にどのようなコストがかかるのでしょうか。また、導入によって得られるメリットは何があり、かけるコスト以上の効果を得られるのでしょうか。 この記事では、テレワーク・リモートワーク実施の際にかかる費用の項目と、実施後のメリットを解説します。

 

テレワーク・リモートワークにかかるコストと導入後の効果とは


 

3つの軸で整理!テレワーク・リモートワークのICT環境づくりにかかるコスト

テレワーク・リモートワークという新しい働き方を成功させるために必要なICT環境は、大きく次の3つに分けられます。

  • 1、セキュリティの確保
  • 2、マネージメント
  • 3、コミュニケーション
3つの軸で整理!テレワーク・リモートワークのICT環境づくりにかかるコスト

以降はこの3つの軸で、システムやツールの内容と価格帯について解説します。

 

「セキュリティの確保」の4つの代表的な方式とコスト

1つ目は「セキュリティの確保」です。自宅や出張先でも、オフィスにいるのと同じように仕事ができるようにするには、社内にある電子ファイルや業務システムを利用できる環境を用意する必要があります。しかし、テレワーク・リモートワークの環境はこれまで仕事を行なっていた社内の環境と異なるため、厳格なセキュリティ対策を講じていなければ、情報漏えいといったインシデントにつながるリスクがあります。

そこで、安全なテレワーク・リモートワーク環境を実現する4つの代表的な方式に沿って説明します。

①リモートデスクトップ方式

オフィスの自席パソコンをテレワーク端末から遠隔操作するシステム。遠隔操作する際は、インターネット経由でテレワーク端末からオフィスの自席パソコンに接続する。専用のアプリケーションや専用機器(認証キーなど)を用意すれば接続できるので、初期費用コストが抑えられ導入の障壁が少ない。テレワーク端末からオフィスにあるパソコンなどに接続するマジックコネクトは、、1人あたりの初期費用は5,000円~※、サービス利用料は年間12,000円~※でリモートデスクトップ方式によるテレワーク・リモートワークが可能。※消費税別

②仮想デスクトップ方式

サーバー上で提供される自分用のデスクトップ環境を、テレワーク端末で遠隔操作するシステム。遠隔操作する際は、インターネット経由でテレワーク端末から仮想デスクトップ環境が集約されたサーバーに接続する。接続時に、クラウド型(自社に代わって仮想デスクトップを管理するサーバー機器の手配等をサービス提供社が行う形式)のサービスを利用する場合、初期費用に加え、利用料が発生するサービスがある。価格帯の一例として、サービス導入時の費用は数十万円、ユーザー40名による年間利用料は数百万円が挙げられる。また、ユーザー数において一定数以上の契約が前提になっているサービスもあるので注意が必要。

③クラウド型アプリ方式

インターネットからクラウドサーバー上にあるアプリケーションにアクセスし、作業を行えるシステム。発生するコストはアプリケーションを利用するためのサービス利用料のみのケースが多い。ファイル保存や管理、文章作成や閲覧などの作業ができるアプリケーションの例では、1人あたりの年間利用料は数万円程度。

④会社パソコン持ち帰り方式(VPNサービス利用)

会社パソコンを持ち帰り、社内ネットワークにVPN機器を用いてアクセスするシステム。クラウド型の場合、数万~数十万円の初期費用と年間利用料(VPN機器1台あたり)が発生するサービスがある。VPN機器を設置する拠点数などによって費用は変動する。
また、業務データが保存されたパソコンを社外へ持ち出すことになるため、盗難や紛失による情報漏えいなどのリスクは高い。持ち帰る会社パソコンのセキュリティ確保のため、パソコン暗号化ツールのコストが追加で発生するケースもある。

4つの方式の詳細はテレワークからはじめる働き方改革 Vol.4初心者でもできる!テレワークのためのシステム環境づくりで解説していますので、併せてご覧ください。

テレワーク・リモートワークを実現する方式の価格帯

上記で解説した①リモートデスクトップ方式、②仮想デスクトップ方式では、クラウド型以外の利用形態としてオンプレミス型(自社でハードウェアやソフトウェア等を手配し管理する形式)が存在する。オンプレミス型の場合、サーバー機器やVPN装置等を調達することに加え、サーバールームやデータセンターへの機器設置にかかる料金も会社負担しなければならない。また、ハードウェアを安定稼働させるための電気や空調等、設備維持にかかる料金を考慮しなければならず、ランニングコストがかかる。

ここまで、4つの方式別に価格帯を紹介しました。ただし、テレワーク・リモートワークを実施時の利用者数やサービス形態などによって、かかるコストは大きく変動します。そのため、導入の際は自社の要件を明確にした上で、方式を選択されることをおすすめします。4つの方式においてコスト以外の特徴はテレワークからはじめる働き方改革 Vol.4初心者でもできる!テレワークのためのシステム環境づくりで解説していますので、併せてご覧ください。


「マネージメント」のツール

テレワーク・リモートワークの成功に必要なICT環境の2つ目は「マネージメント(管理)」です。従業員がオフィスに集まって働くスタイルとは異なるテレワーク・リモートワークでは、上司が部下の働く様子を把握しづらいと感じることや、反対に部下が仕事の成果を上司に評価されていないのではないかと不安になる場合もあるのではないでしょうか。実際、厚生労働省の調査によると、テレワーク・リモートワークの際に従業員が感じた課題に「勤怠管理が難しい」が上がっており、テレワーク・リモートワークにおけるマネージメントは困難であると感じている社員も多いです。

勤怠管理(労働時間の管理)以外のマネージメントの対象項目には、業務管理(業務遂行状況の把握やタスク可視化など)や、プレゼンス管理(在席管理)があり、マネージメントツールは多岐に渡ります。年間利用料は数千~数十万円と価格帯は広めですので、自企業や自部署の人数や要件に適するサービスを選定し、部下やチームメンバーの管理を行って業務効率を向上させましょう。

出典:厚生労働省(これからのテレワークでの働き方に関する検討会」(第4回))
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000694957.pdf

 

「コミュニケーション」のツール

3つ目は「コミュニケーション」です。業務の生産性をテレワーク・リモートワーク時でも維持・向上させるため、従業員同士が離れた場所にいても円滑にコミュニケーションを取れることは重要なポイントです。業務用途に適したコミュニケーション手段を用意しましょう。

「コミュニケーション」には3つの代表的なツールがあり、1人あたりの年間利用料の参考価格帯は下記です。

  • ① ビジネスチャット…利用料数千~数万円で、テキストで手軽にやりとりできるツールがある
  • ② Web会議…利用料数万円で、音声と映像で意思疎通できるツールがある
  • ③ 電話関連サービス…利用料数千円で利用できるIP電話アプリ等がある


そのほかにかかるコスト

ここまでに紹介した「セキュリティの確保」「マネージメント」「コミュニケーション」のICT環境を成り立たせるためには、インターネット環境が欠かせません。オフィスはもちろんのこと自宅や出張先で仕事する際に使用するインターネットの通信費も考慮しましょう。

厚生労働省によれば、出張先や移動中でのモバイルワーク用にモバイルルーターを企業が従業員に貸与する場合、その通信費用は全額を会社負担としているケースが多いと言われています。一方で、従業員自宅の通信回線を在宅勤務時に使用する場合、プライベートと業務の使用の切り分けが困難なため、回線利用料の一定額を「在宅勤務手当」として毎月支給している企業が多く、NTTグループでは1日あたり200円のテレワーク・リモートワーク手当を従業員に支給しています。このような手当は、従業員自宅の水道光熱費といった経費も考慮されたものであり、企業は費用負担区分について、明確なルールを作成し、従業員に説明する必要があるでしょう。

出典:厚生労働省(テレワーク導入のための労務管理等Q&A等)
https://roumu.com/pdf/nlb1103.pdf


企業目線でみる、テレワーク・リモートワークの効果

企業目線でみる、テレワーク・リモートワークの効果

 

ここまでテレワーク・リモートワークを導入・継続する際にかかるコストについて見てきましたが、一方で、テレワーク・リモートワーク実施によるメリットもあります。メリットの中でも、企業が重視する経費の削減についてみていきましょう。

削減の効果が見込める項目は、従業員の交通費や出張費、オフィスの賃料、従業員の残業代などです。総務省が実施した「テレワーク・デイズ」の結果では、下記のような具体的なコスト削減が成果として挙げられました。

テレワーク・デイズ2019 実施した際の効果  

テレワーク・リモートワークの実施による働き方の変化は、コスト削減という大きなメリットを生み出します。またテレワークを導入する前に知っておきたいポイント! ~もっとわかりやすく!テレワークからはじめる働き方改革Vol.1~では、コスト削減を含めたさまざまなメリットを企業と従業員の目線に分けてわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。

出典:総務省(テレワーク・デイズ2019の実施結果に関する報告)
https://teleworkdays.go.jp/2019/topics/pdf/20191119/20191119_01.pdf

 

導入コストを理解して、効果的なテレワーク・リモートワークを実施しよう

導入コストを理解して、効果的なテレワーク・リモートワークを実施しよう

本記事ではテレワーク・リモートワークの実現に必要なICT環境構築にかかるコストと経費削減の効果を解説しました。経費削減を含めたメリットを最大限享受できるように、自社に適切な方式やツールで実現するテレワーク・リモートワークも働き方のひとつとして考えていきましょう。